【2026年最新】企業版ふるさと納税完全ガイド!令和9年度まで延長、法人税最大90%軽減の仕組みと活用法

カテゴリ: 制度変更公開日: 2026-04-18

企業版ふるさと納税(正式名称:地方創生応援税制)は、法人が地方自治体の地方創生プロジェクトに寄付をした際に、法人税・法人住民税・法人事業税の大幅な税額控除を受けられる制度です。個人が利用するふるさと納税とは異なり、対象は企業(法人)であり、地方の活性化や地域課題の解決を支援しながら大きな節税効果を得られることが特徴です。2020年度の税制改正で税額控除率が大幅に引き上げられ、以降、活用する企業数は急増しています。さらに2024年度の税制改正では、令和9年度(2027年度)末までの延長が決定し、中長期的な視点で制度を活用できるようになりました。本記事では、企業版ふるさと納税の基本的な仕組みから税制優遇の詳細、申請手順、活用する際のメリットと注意点まで、企業担当者の方に向けて詳しく解説します。

企業版ふるさと納税とは何か

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、2016年度(平成28年度)の税制改正で創設された制度です。国が認定した地方公共団体の「地方創生推進寄附活用事業」(地方創生プロジェクト)に対して法人が寄付を行った場合、通常の損金算入に加え、法人税・法人住民税・法人事業税からの税額控除が適用されます。

制度の目的は、企業の資金・人材・ノウハウを地方に呼び込み、地域経済の活性化や人口減少対策、産業振興などを促進することにあります。地方自治体は民間企業からの寄付を財源として、独自の地域創生プロジェクトを推進できるようになるため、自治体・企業の双方にメリットがある制度として設計されています。

企業版ふるさと納税で寄付の対象となるのは、内閣府が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」です。この認定を受けた自治体のプロジェクトに対してのみ寄付が可能で、単なる自治体への一般的な寄付とは区別されます。寄付の下限額は10万円とされており、中小企業から大企業まで幅広い規模の法人が活用できます。

個人版ふるさと納税との主な違い

企業版ふるさと納税と個人版ふるさと納税は名称が似ていますが、制度の仕組みや対象、メリットに大きな違いがあります。最も重要な違いは「返礼品の有無」です。個人版ふるさと納税では、寄付に対して地域の特産品などの返礼品が届きますが、企業版ふるさと納税では返礼品の受け取りは一切禁じられています。経済的な利益を法人が受け取ることは制度上認められておらず、これは税制優遇の根拠となる「純粋な地域貢献」という性格を担保するためです。

税制優遇の内容も異なります。個人版では所得控除や税額控除により寄付額の約8〜9割が実質負担ゼロになりますが、企業版では損金算入と税額控除を組み合わせることで最大約90%の税負担軽減(実質負担が約10%)が実現します。税務処理の方法も法人税の申告として行うため、個人の確定申告とは別の手続きが必要です。

また、寄付できる対象も限定されています。個人版では原則として居住している市区町村以外のどこにでも寄付できますが、企業版では内閣府が認定したプロジェクトに絞られます。自社の本店所在地や主要事業所がある自治体への寄付は、原則として税額控除の対象外となる点も重要なポイントです。

令和9年度(2027年度)までの延長決定

企業版ふるさと納税は当初、令和6年度(2024年度)末までの時限措置として設けられていました。しかし2024年度税制改正において、令和9年度(2027年度)末まで3年間延長されることが決定しました。これにより、2028年3月31日までの間、現行の税制優遇内容を維持したまま企業版ふるさと納税を活用できます。

延長が決定した背景には、制度の普及と活用実績の拡大があります。制度創設当初の2016年度は寄付件数・金額ともに限定的でしたが、2020年度の税額控除率引き上げ(最大約60%から最大約90%)を機に急速に普及し、年間の寄付総額は数百億円規模に達しています。政府は引き続き地方創生の柱となる施策として位置づけており、今後も制度の維持・発展が見込まれます。

企業にとっては、令和9年度まで制度が継続することが確定したことで、中長期的な地方創生への投資計画が立てやすくなります。複数年にわたるプロジェクトへの関与や、地方自治体との継続的な連携関係の構築を検討しやすい環境が整ったといえます。

税制優遇の仕組み:法人税最大90%軽減の詳細

企業版ふるさと納税の最大の魅力は、寄付額に対して最大約90%の税負担を軽減できる点にあります。この数字の根拠となる税制優遇の仕組みを詳しく見ていきましょう。

企業が地方創生プロジェクトに寄付を行うと、まず「損金算入」が認められます。損金算入とは、寄付金を法人の費用(損金)として計上することで課税所得を減少させる効果のことです。通常の寄付金には損金算入の上限(一般寄付金の損金算入限度額)がありますが、企業版ふるさと納税の対象となる寄付は全額が損金として計上できます。これにより、法人の実効税率(約30%)に相当する分の税負担が軽減されます。

加えて、税額控除として以下の3種類の優遇措置が適用されます。法人税からの税額控除(寄付額の40%)、法人住民税(法人税割)からの税額控除(寄付額の20%)、法人事業税からの税額控除(寄付額の20%)です。これらを合計すると、最大で寄付額の60%が税額から直接差し引かれます。

控除される税金の種類と計算方法

具体的な数字で確認しましょう。例えば、法人が100万円の寄付を行った場合、次のような税負担軽減が生じます。

損金算入による効果として、100万円の費用計上により課税所得が100万円減少します。実効税率を約30%とすると、約30万円の法人税等が軽減されます。次に税額控除として、法人税からの控除(40万円)、法人住民税(法人税割)からの控除(20万円)、法人事業税からの控除(20万円)の合計80万円が税額から直接引かれます。

ただし、各税目の控除額には上限があります。法人税の控除額は当期の法人税額の20%が上限、法人住民税(法人税割)は当期の法人住民税額の20%が上限、法人事業税は当期の法人事業税額の20%が上限です。これらの上限制約により、実際の控除額は理論値(80万円)を下回る場合がありますが、軽減額は実質的に大きなものとなります。

損金算入(約30万円)と税額控除(最大60万円)を合わせると、最大で90万円の税負担軽減となります。つまり100万円の寄付に対する実質的な負担は約10万円という計算になります。これが「法人税最大90%軽減」と表現される根拠です。

損金算入と税額控除の組み合わせ効果

損金算入と税額控除は、それぞれ異なるメカニズムで税負担を軽減します。損金算入は課税所得(利益)を減らすことで間接的に税額を下げる効果があり、税額控除は算出された税額を直接差し引く効果があります。税額控除の方が直接的な税金の減少につながるため、より強力な節税効果といえます。

重要な点として、税額控除の効果を最大限に活かすには、当期の法人税・法人住民税・法人事業税が一定額以上計上されていることが必要です。赤字が続いている法人や当期の税額が少ない法人では、控除できる額が制限される場合があります。このため、黒字が続いている法人ほど企業版ふるさと納税の節税効果が高くなります。

また、損金算入により課税所得が減少することで法人税額が下がり、そこから税額控除を行うため、控除の上限(法人税額の20%)も小さくなるという点にも注意が必要です。実際の節税効果を正確に把握するには、自社の税務担当者や税理士と事前に試算を行うことが推奨されます。

寄付できるプロジェクトの種類

企業版ふるさと納税の寄付対象となるのは、内閣府の認定を受けた「地方創生推進寄附活用事業」です。各地方自治体が独自に策定した地方版総合戦略に位置づけられたプロジェクトが認定対象となり、その内容は自治体ごとに多岐にわたります。

プロジェクトの分野としては、産業振興・雇用創出、少子化対策・子育て支援、教育・人材育成、農林水産業の活性化、観光振興、移住・定住促進、スポーツ・文化振興、まちづくり・地域コミュニティ再生などが代表的です。企業は自社の事業内容や企業理念、CSR活動の方向性と合致したプロジェクトを選んで寄付することができます。

内閣府のポータルサイト「企業版ふるさと納税ポータルサイト」では、全国の自治体が掲載しているプロジェクト情報を検索・閲覧できます。自治体名、プロジェクトの分野、地域、寄付の目標金額などの条件で絞り込みが可能なため、企業のニーズに合ったプロジェクトを見つけやすい環境が整っています。

地方創生プロジェクトの具体例

実際に企業版ふるさと納税の対象となっているプロジェクトには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的な分野の例を見てみましょう。

産業・雇用関連では、地域特産品のブランド化支援、スタートアップ・起業支援拠点の整備、地場産業の後継者育成プログラム、農業法人の育成や農業DX推進などが挙げられます。これらのプロジェクトに寄付することで、企業は間接的に地域産業の発展に貢献できます。

子育て・教育分野では、保育施設の整備、学習支援センターの運営、プログラミング教育の推進、奨学金制度の創設などが対象となっています。CSR活動として教育支援に取り組みたい企業に適したプロジェクトです。

観光・地域振興分野では、インバウンド対応の観光施設整備、地域の伝統文化・祭りの保護・継承、地方移住促進のための情報発信、空き家・空き店舗の活用支援などもプロジェクトとして認定されています。地域の魅力発信に共感できる企業向けの選択肢が多数あります。

人材派遣型(企業人材の地方派遣)とは

2020年度からは、金銭の寄付に加えて「企業人材の地方派遣」も企業版ふるさと納税の枠組みで支援できる「人材派遣型」の仕組みが設けられています。この制度では、企業の社員が地方自治体に出向・派遣されて業務に従事することで、企業が負担する人件費相当額を企業版ふるさと納税と同様の税制優遇で処理できます。

人材派遣型は、地方自治体が民間企業のノウハウや専門知識を直接取り込めるという点で特に注目されています。デジタル化・DX推進、マーケティング・広報、財務・会計、法務など、自治体では人材が不足しがちな専門分野に企業人材を派遣することで、地域の行政能力・業務効率を高めることができます。

企業側のメリットとしては、税制優遇に加えて、社員に地方でのキャリア経験を積ませるという人材育成効果が期待できます。地方での業務経験は、視野を広げ、新しい発想や問題解決能力を養う場として有益です。また、副業・兼業として従業員が地方自治体の業務に関わる「副業型」も設けられており、社員の副業を通じた地域貢献を支援する仕組みも整備されています。

企業版ふるさと納税の申請・利用手順

企業版ふるさと納税を活用する際の手順は、個人のふるさと納税よりも複雑です。事前の準備と自治体との調整が重要なポイントとなります。

ステップ1:寄付先プロジェクトの選定

最初のステップは、寄付するプロジェクトの選定です。内閣府の「企業版ふるさと納税ポータルサイト」にアクセスし、認定されたプロジェクトの一覧を確認します。プロジェクトの分野・地域・規模・活動内容を確認し、自社のCSR方針・業種・企業理念と合致するものを選びましょう。

プロジェクトを選ぶ際には、寄付金の使途が明確であるか、自治体の地方創生戦略に確かに位置づけられているか、過去の実績や運営体制が適切かどうかも確認することが重要です。寄付後に「思っていた活動と違った」とならないよう、事前にプロジェクトの詳細をしっかりと確認してください。

自社の本店所在地や主要な事業所がある都道府県・市区町村への寄付は税額控除の対象外となる点にも注意が必要です。この制限は「地域間の税収の偏り是正」という制度の趣旨から設けられており、自社拠点がある自治体以外への寄付が前提となっています。

ステップ2:自治体との事前確認と申請

寄付先プロジェクトが決まったら、対象自治体の担当部署に事前に連絡を取ることが推奨されます。プロジェクトの現状・寄付の受け入れ状況・必要な手続きなどを確認し、寄付の意向を伝えましょう。

自治体によっては、企業名・寄付目的・金額などを事前申告する書類の提出を求めるケースがあります。また、自治体と寄付企業で覚書(MOU)を締結する場合もあり、その内容や締結フローは自治体ごとに異なります。担当者との丁寧なコミュニケーションが円滑な手続きにつながります。

金銭の寄付手続きは、自治体所定の振込先への送金となります。銀行振込が一般的ですが、一部自治体では別の支払い方法を用意している場合もあります。寄付後には「寄附金受領証明書」が発行され、税務申告の際に必要な書類となります。

ステップ3:寄付の実行と税務申告

寄付が完了したら、自治体から「寄附金受領証明書」を受け取ります。この書類には、寄付先自治体名・プロジェクト名・寄付金額・寄付日などが記載されており、法人税申告書に添付して提出します。

税務申告では、損金算入の処理と税額控除の申告を行います。法人税申告書の「別表」において、税額控除の計算と適用を記載します。具体的な処理方法は税理士や税務担当者に確認することが確実ですが、一般的な法人税申告の範囲内で処理できます。

税額控除は法人税・法人住民税・法人事業税それぞれの申告書に記載が必要です。法人住民税は都道府県税と市区町村税(特別区民税含む)の両方に影響します。申告時には寄附金受領証明書のほか、当該プロジェクトが内閣府に認定されていることを確認する書類(自治体から取得可能)も必要な場合があります。

活用メリットとデメリット・注意点

企業版ふるさと納税の活用を検討する際には、メリットと注意点の両面をきちんと理解したうえで判断することが重要です。

企業にとってのメリット

企業版ふるさと納税の最大のメリットは、前述のとおり法人税等の大幅な軽減です。最大約90%の税負担軽減により、実質的に低コストで地方創生への貢献が実現できます。通常のCSR活動や社会貢献活動は費用として計上されますが、企業版ふるさと納税は税額控除という形でダイレクトに法人税を減らせるため、財務的インパクトが大きくなります。

CSR・ESGの観点からも大きなメリットがあります。地方創生・地域振興への貢献は、企業の社会的責任(CSR)や環境・社会・ガバナンス(ESG)の評価指標として注目されています。企業版ふるさと納税への取り組みを対外的に情報発信することで、企業ブランドイメージの向上や投資家・取引先・従業員からの評価向上につなげられます。

自治体との関係構築という観点でもメリットがあります。寄付を通じて特定の地方自治体と深い関係を築くことで、現地での事業展開・進出の足がかりになる可能性があります。人材派遣型を活用すれば、社員の地方での業務経験を通じた人材育成効果も期待できます。

注意点とよくある誤解

企業版ふるさと納税で必ず理解しておくべき注意点がいくつかあります。まず最も重要なのは「返礼品はない」という点です。個人版のように地域の特産品が届くことはなく、経済的利益を受け取ることは一切禁止されています。これに違反した場合、税制優遇が取り消されるリスクがあります。

また、「税額がゼロになるわけではない」という点も誤解されやすいポイントです。最大90%の軽減といっても、残り10%は実際の費用負担となります。黒字法人であれば大きな節税効果がありますが、赤字法人や税額が少ない法人では控除しきれない場合があるため、自社の税務状況に応じた慎重な検討が必要です。

自社拠点がある自治体への寄付は対象外という制限も重要な注意点です。本社・支店・工場など主要な事業所が所在する都道府県・市区町村への寄付は税額控除が認められません。グループ企業が複数自治体に事業所を持つ場合は、どの自治体が「対象外」となるかを事前に確認することが必要です。

さらに、寄付の見返りとして自治体から特定の便宜供与や優遇措置を受けることも認められていません。契約や補助金の優先配分、入札での有利扱いなど、寄付と引き換えの利益供与があると判断された場合、税制優遇の取り消しや法令違反となる可能性があります。純粋な地域貢献の精神で活用することが制度の前提です。

まとめ

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、法人が地方創生プロジェクトに寄付することで、損金算入と税額控除の組み合わせにより最大約90%の税負担軽減を実現できる制度です。2024年度の税制改正で令和9年度(2027年度)末まで延長が決定し、中長期的な活用計画が立てやすくなっています。

個人版のふるさと納税と異なり返礼品はありませんが、法人税・法人住民税・法人事業税の大幅な軽減という強力な節税メリットがあります。また、地方自治体との連携深化・CSR活動の充実・人材育成など、財務的なメリット以外の効果も期待できます。

活用に際しては、自社の事業所所在地の確認(対象外自治体の把握)、実際の税額と控除額の事前試算、返礼品・見返りの禁止ルールの遵守など、重要な注意点があります。税理士や自治体担当者と連携しながら適切に手続きを進めることで、企業と地域双方にとって有益な制度の活用が実現できます。地方創生への貢献と節税効果を両立できる企業版ふるさと納税を、ぜひ自社の経営戦略のひとつとして検討してみてください。